財務の世界は急速に変化しており、人工知能(AI)がその先頭に立っています。会計ワークフローの簡素化から財務計画の変革まで、AIは組織の運営方法を大きく変えています。
ドラギ報告書*[1]によると、ヨーロッパではグローバル競争力を維持するためには革新の導入が急務です。報告書の重要なメッセージのひとつは、財務・会計担当者はAIなどの先進技術を活用して、生産性とレジリエンスを高める必要があるということです。
世界中の先進企業は、すでに実践例を示しています。以下では、財務・会計業務でのAIの活用事例を5つ紹介し、この技術がどれだけ変革力を持つかを見ていきます。
最初のAIプロジェクトを計画する
監査業務では、これまで時間がかかっていた文書処理ステップをAIで自動化することでサイクルタイムを短縮しています。DeloitteのOmnia*[2]とそのGenAI機能を活用すれば、財務諸表のドラフトチェックや初回ドキュメント確認、監査コミュニケーションのドラフト作成までを迅速化。
その結果、担当者は手作業の突合ではなく、リスク評価やクライアントへの示唆により多くの時間を割けるようになります。
ポイント:
EYはEY.ai Value Accelerator*[3]を立ち上げ、財務・会計チームが単なる実験ではなく、価値創出につながる形でAIを導入できるよう支援しています。プラットフォーム上でビジネス目標とユースケースを結び付け、業界特有の価値を定量化し、現実的なロードマップを作成。パイロット段階で停滞することなく、測定可能な成果を実現します。
ポイント:
最初のAIプロジェクトを計画する
中小規模のチームにとって、帳簿を常に最新に保つことは大きな課題です。Intuit QuickBooks*[4]では、AIが取引の分類、口座照合、請求書発行や支払い処理を自動化。日常的な作業を自動化することで、会計・財務チームはアドバイザリーや将来戦略に集中できます。
ポイント:
流動性判断は月末まで待てません。Oracle AI for Fusion Applications*[5]は、予測型キャッシュフロー、取引マッチング、インテリジェント文書認識、動的ディスカウント機能などを日常業務に組み込みます。結果として、手作業が減り、クローズ業務は迅速化、運転資本の見える化も向上します。
ポイント:
不安定な市場では、迅速なシナリオ分析が求められます。IBM Planning Analytics (TM1)*[6]は、P/L・貸借対照表・キャッシュフローをリアルタイムで更新しつつ、AIによる外部変数を考慮した予測をサポート。これにより、計画は常に最新、意思決定も迅速に行えます。
ポイント:
これらの事例は、すでにAIが財務・会計チームに成果をもたらしていることを示しています。将来の財務業務は、AIが単なるツールではなく、日々の業務の中核となる世界を指しています。
専門家にとっては、データ・自動化・倫理的なAI活用に関する新たなスキルへの投資が不可欠。組織としては、適切なAIツール・ソフトウェアを導入することで、意思決定の迅速化、コンプライアンス強化、柔軟なチーム運営を実現できます。
当社の「財務・会計におけるAI活用事例」では、実際の活用例、計画のための質問事項、共有用スライドなどを収録しており、次の議論を始める際のヒントになるように作られています。
これらの資料を活用して、チーム内での対話や計画づくりに役立て、AIをより効果的に業務に取り入れる第一歩としていただけます。
最初のAIプロジェクトを計画する
[出典・参考資料]
本記事は以下の情報を参考に作成しました。
[1] ドラギ報告書:欧州経済モデル改革戦略より
[2] OmniaにおけるGenAIとAgentic AI機能のグローバルスイートより
[3] EY.aiバリューアクセラレーターより
[4] Intuit AIで1分1分を最大限に活用しましょうより
[5] Fusionアプリケーション向けOracle AIより
[6] IBM プランニングアナリティクスより