厚生労働省は8月下旬、都道府県ごとに決める2020年度の地域別最低賃金について、全都道府県の改定額を発表しました。今年は新型コロナウイルスの感染拡大によって企業業績が大幅ダウンに見舞われていることから、中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)は7月、「現行水準維持が適当」として引き上げの目安を示しませんでした。これを受けて、40県の地域最低賃金審議会が1~3円引き上げ、全国加重平均では現在より1円増の902円、0.1%の引き上げとなりました。10月から順次適用されます。
今回、3円引き上げたのは最賃の水準が低い青森、岩手、山形、徳島、愛媛、長崎、熊本、宮崎、鹿児島の9県。最も高い東京都は引き上げを見送って1013円のまま、大阪府も見送って964円に据え置き。このほか北海道、静岡、京都、広島、山口の5道府県も据え置きを決めました。神奈川県は1円上げて1012円としました。今回の引き上げで秋田県などの最低地域は792円となり、東京都との差は221円、21.8%で、昨年の223円、22.0%から少し縮小しました。最低賃金は16年度から4年連続で3%以上の大幅引き上げが続きましたが、今回は新型コロナの影響で足踏みしました。04年度に平均1円の引き上げがありましたが、それ以来の低水準。04年当時は44都道府県が引き上げており、今回はそれをさらに下回りました。
求人広告会社が発表した7月の派遣平均時給(三大都市圏、募集時)は1581円で、前月比0.2%増、前年同月比0.4%増となり、6月からやや持ち直しました。新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、テレワークを採用する企業が増えており、IT環境の整備を目的にIT系スタッフの需要が高まったためとみられます。職種別(大分類)では、最大案件の「オフィスワーク系」が1560円(同1.2%減)となる一方、「IT系」が2251円(同0.6%増)、「技術系」が1872円(同1.0%増)、「医療・介護系」が1338円(同1.8%増)など、コロナ対策に必要な分野の需要は伸びています。地域別でも関東が1643円(同0.2%増)、東海が1379円(同2.0%増)、関西が1400円(同2.3%増)となり、関東が前月のマイナスからプラスに転じ、3地域ともプラスになりました。
求人広告会社が発表した7月のアルバイト時給は平均1073円で、前月比24円(2.2%)減、前年同月比1円(0.1%)増となりました。前年比は5月に45カ月ぶりのマイナスでしたが、6月は再びプラスに転じ、7月もかろうじてプラスを維持しました。職種別にみると、前月と同様に事務が1275円(同5.2%増)、製造・技能が1057円(同0.2%増)、教育が1401円(同3.9%増)と上昇する一方、専門職の1120円(16.4%減)、飲食の995円(同1.6%減)など5職種が下回っています。
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