新型コロナウイルスによる緊急事態宣言前後、ランスタッドで組織開発、人財教育、メンタルヘルスを専門に展開するEAP総研には、企業から様々な「困りごと」の相談が寄せられました。慣れない在宅勤務や、出社人数を制限してシフトを変更するなど、働き方のリズムや環境の変化への適応過程で生じるトラブルや不具合。こうした変化が緊急事態宣言下の一時的対応にとどまる業種はあるものの、在宅勤務やフレックス制度、ITを用いた会議などは今後ニューノーマルになることが予測されます。
働き方のニューノーマルを考えるとき、組織には何が求められるのでしょうか。
今までは見過ごされていたり、どうにか誤魔化せていたような小さな問題が、働き方の変化をきっかけに顕在化し、組織全体の不協和へつながる可能性があります 。
なんとなく空気を読んで、やり過ごす。皆が対面で職場にいるからこそ成立していた関係にひずみはないか、改めて見直してみましょう。ニューノーマルにおいては、こうした些細なすれ違いが個人にとっても、組織にとっても大きな負荷へ発展するかもしれません。
コロナ禍がもたらした変化とは何だったのか。組織に何が起こっているのかを整理してみる必要がありそうです。
変化を受け入れ、守るべき本質を改めて考えてみることでニューノーマルに適応する組織づくりのヒントが見えて
くるのではないでしょうか。
働く人はそれぞれ、職場だけではなく家庭や自分自身のための時間からもストレスを受けています。
そのため、どこかに生じた変化がストレスとなってしまうことは誰にも起こり得ることです。
一時的な生活習慣の乱れや運動不足などについては、自粛生活の解除などから改善が想定されますが、ニューノーマルに適応していく中で、新たなストレスとどううまく付き合うか、現状で問題と感じていることをどう捉えて受け入れるか、できるのであれば改善して前に進むか、それを一歩立ち止まって考えることが大切です。
ランスタッド株式会社 EAP総研所長 川西 由美子(かわにし ゆみこ)
フィンランドのLyhytterapiainstituuttiにてヨーロッパを中心に世界25か国に広まりを見せる組織活性化技法の指導者資格を取得。現在はオランダに本社のある世界最大級の人材会社ランスタッド株式会社のEAP総研所長として国家機関、地方自治体、企業、病院などで産業競争力を高める人材育成や組織改革の技法を広めている。臨床心理学、組織心理学が専門。著書多数。ベトナムの情報通信省やインドネシアでも出版され、ベトナムの大学や企業、インドネシアの企業でも教育活動を行っている。
現在、病院臨床としてはストレスドックの心理カウンセリングも行っている(1998年~現在に至る)。
2012年~2015年には東日本大震災後の福島県南相馬市民のメンタルヘルスケアに従事(厚生労働省の委託事業として)